こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。
昨日、一般質問が終わりましたので、そのご報告を。今回私がメインのテーマとして取り組んだのは、四賀地区に新しく作ろうとしている、
17億8千万円かけて作る2100人規模の野球場のこと。
もともとグラウンドがあったのですが、これを同じ土地で建て替えることとして、この野球場を、浅間の市営球場を補完し、中規模大会をこの2球場で誘致するものにしようとしています。
1,もともとはグラウンドの老朽化対策程度の改修の予定であった
四賀村と合併した松本市は、平成20年頃、築30年経過した
四賀グラウンドの老朽化対策を検討していました。(ちなみに、私は老朽化対策をして、もともとの規模で野球場を整備し、確保することには大いに賛成ですし、その場は早く確保されるべきであると考えています。)
その後、平成24年2月の市議会一般質問における答弁で、
「中規模大会を誘致する規模として整備する」ことが示されました。中規模大会とは、高校野球の地区予選大会などですが、現在は浅間の市営球場と、大町市の球場を使ってこの規模の大会は開催されており、塩尻市にも開催可能な球場があります。
平成25年、実施計画第43号の中で、四賀運動広場は「
老朽化した施設を改修するもの、また機能面で不足している設備の充実を図るもの」として登載され、その事業費は7億1,777万円となっていました。
しかし、平成26年度に挙げられた実施計画第44号には、「経年劣化による老朽化や機能面で不備が見られることから、
野球場としての機能を加え、施設の高機能化を図り、利用者の需要に応えるよう計画的に整備するもの」となって、事業の概要が大きく変わり、事業費は
15億1,116万円と倍増しています。
このとき、私はまだ議員になっていませんでしたが、当時の議事録を見ると、議会からも疑問を呈する声が多く出されていて、
「規模の変更に唐突感がある」「どういった経緯で事業費が急に倍増したのか」「駐車場の一部が土砂災害警戒区域となっているが、この地でいいのか」「市街地から比較的距離が離れている」など、
2100人規模の必要性と建設する土地に関する懸念が指摘されてきました。
2,当初示された総工費は15億8千万円
その後、平成26年4月に、議会に総工費15億8千万円の四賀野球場(正式名:四賀運動広場)の案が議会に報告され、当時の議会では
「15億8千万円の総工費は高すぎる」といった指摘がなされました。これを受けて、総工費の縮減を図って13億8千万円としたことと、国が70%を交付税措置で肩代わりしてくれる「過疎債」を財源にすることを踏まえ、平成26年当時に議会として了承するに至りました。
この翌年の平成27年に私は議会に送り出していただきましたが、すでにこの時点で
「本案件は議会で決められたこと」とされていたため、その規模や必要性に疑問を感じながらもこれまでその見直しを考えることはできないと判断していました。
しかし、この年に
工事単価の値上がりと地盤改良の必要性が生じ、2億7千万円経費が増えて
総額16億5千万円となることとなりましたが、当時の総務委員会でこれらは了承されることとなりました。
この時点で、
「高すぎる」として議会が見直しを求めた15億8千万円の当初工事費を上回っています。
そして、土地の造成も始まっていたのですが、今年に入り、新たに
「建て替え地にもともと沢があって地盤支持力が想定外に弱い」という地盤瑕疵が判明。10m下の支持基盤まで杭を打たねばならず、計画通りに作ると5億3千万円増の21億8千万円となってしまうことから、その代替案を当局で考えていました。その結果、
スタンド席を一部芝生席にすることで、2100人規模を維持しながら、1億3千万円増額した、17億8千万円で作るという今回の総工費が先月提示されるに至りました。
先月の総務委員会では、これを簡単に認めるわけにはいかないという立場から、
2回「継続協議」としていて、その間の市の答弁でも、「適地か否かと問われれば適地とは言えない」ということも言われています。
しかし、3度目の総務委員会で市から
「総工費の縮減に努める」という答弁があり、これを受けて、一部反対意見がある中、総務委員会では
「すでに工事がはじまっていて、中断すれば違約金が発生する」「これまで議会で認めてきている」「せっかく作るならちゃんとしたものとしたほうが効果的」「安全性等の観点から、総工費をただ安くすればいいというものではない」といった意見が出され、この
総工費と工法が了承されることとなりました。反対意見としては、
「適地とはいえない」「税金の無駄遣いとのそしりを免れない」ということが挙げられ、早期完成を前提に規模縮小を図るべきとされています。
詳細な経過については、こちらの記事でご確認ください。
5月22日付市民タイムス
5月24日付市民タイムス
5月25日付市民タイムス
この経過を傍聴席でずっと見ていましたが、市は「これまで議会に相談して、認められてきている」ということを繰り返していて、
・15億8千万円で「高すぎる」と議会は判断している
・地盤支持力不足という瑕疵が発覚し、議会で認めてきた前提が崩れている
ということと、2100人規模の必要性よりも
「議会承認という手続きを踏んできたから」という手続き論が先行しているような印象を抱いたので、市長がこの件についてどう考えているのかを聞くために、今回の一般質問で取り上げることとしました。
3,2100人規模だと、維持管理費や改修費はどれくらいかかるのか?
今年2月の定例会では、美術館の大規模改修に20億円かかることになるということが新たにわかりました。
昨日の一般質問では、まず、今回の2100人規模の球場について、今後発生する経費がいくらかということを訪ねました。
答えとしては、
年間の維持管理費が1300万円かかるとのこと。
しかし、改修費用もかかるわけで、かりがねサッカー場や市営球場が10億円の改修費見込みであることから、その程度は覚悟する必要があると考えています。
4,公共施設を2割削減しないと財源不足に陥るはずでは?
松本市公共施設総合管理計画によると、2045年度までにかかる公共施設の必要経費は、改修・更新・維持管理費用あわせて1年あたり102.7億円の見込みで、人口減少、少子高齢化により、
このままでは一年あたり28.5億円の財源不足に陥ることがわかっています。
このような財源不足に陥らないようにするには、公共施設の延べ床面積を、
2025年度までに10%、2045年度までに20%削減しなければいけません。身の回りにある公共施設を2割削減することを想像すれば、それは簡単なことではないことがよくわかります。
これを推進するため、先月策定された公共施設再配置計画では、施設のタイプ別に削減目標が建てられています。四賀運動広場の属する「スポーツ・公園施設」は、2025年までに今より94%、2045年には87%まで削減することとされています。
その中で、今回の四賀運動広場を2100人規模とする場合、150㎡あったハコモノ部分の延べ床面積が、およそ2700㎡に拡大します。差し引き、約2500㎡延べ床面積が増えるということです。
これがどれくらいのイメージかというと、出張所や地域づくりセンターに隣接する地区体育館がありますが、これがおおよそ1000㎡程度であり、この
地区体育館2つ半に匹敵します。
四賀運動広場をこの規模に改修することで、もとの削減目標に加え、地区体育館2つ半分を削減しなければならないこととなります。ちなみに、「スポーツ・公園施設」全体面積のうちのおよそ3%を占めることとなりますから、今の目標では、2025年までに面積を9%も削減しなければいけないこととなります。
前回の2月議会一般質問では、公共施設マネジメントを推進する体制について質問をしていますが、今回の四賀運動広場の面積拡大や、昨今の新庁舎や博物館の建設面積を見るにつけて、
本当に強力に、そして統括的に公共施設マネジメントを市として考えているのか、その姿勢に疑問を感じざるを得ません。
この増える2500㎡の敷地面積について質問したところ、「今後策定予定の個別施策計画の中で総合的に考えていく」との答弁がありました。その検討はこれからするということですし、この
公共施設マネジメントの流れに逆らうのであれば、その建設の必要性には明確な理由が求められるでしょう。
5,県営球場を誘致しているのに影響はないのか?2100人にすることでどれだけの利用が増えるのか?
松本市はもともと県に対して県営球場の誘致活動を続けてきています。四賀に球場を作ることで誘致活動に支障がないかと質問したところ、
「市単独事業であって誘致活動に影響はない」と答弁がありました。県営球場は3万人規模のものですが、
もしこれができた場合、四賀の球場の整備目的のひとつである「市営球場を補完する役割」というのはどうなるのでしょうか・・・?
また、2100人規模とすることでしか増えない利用見込みを質問したところ
、誘致できる大会は5大会で、365日中18日間の利用がメインとされました。
6,市長は、地盤瑕疵がある中、なぜ17億8千万円かけてでもこの地に2100人規模の球場を作ると判断したのか?
10年、20年たって、将来の松本市のこどもたちから
「どうして当時の松本市は、この規模の野球場をこの地に作ったのだろう」と言われないためには、その必要性を、ひろく理解してもらえるようにしておかなければいけません。
そして、6年間にわたる議論を経る中で、
「議会でこの規模とすることを答弁したから」、「議会で承認・議決されてきたから」といった手続き論に縛られ、地盤の瑕疵発覚後も、誰も立ち止まることができずにここまで来てしまったということはあってはならないことですが、そのような印象を持たれてかねない案件となってしまっています。
市長であれば、
今回の地盤の支持力不足という瑕疵発覚を踏まえて、規模や事業費をゼロから見直すことも考えられました。
しかし、地盤の瑕疵や増大する事業費・維持費と比較しても、
将来の松本市のためになると判断したからこそ、公共施設マネジメントの流れに逆らっても、建設を進めるということで政治的判断をしたことになります。
地盤瑕疵を踏まえた四賀運動広場改修のメリットと必要性について、まだ市長から、議会に対しても、市民に対しても説明をされたことがなかったので、「どのように比較・検討したのか、その政治的判断について、
市民への説明を求めたい」と質問をしました。
それに対して、
市長は答弁せず、担当部長から「これまで議会で認めてきた詳細な経緯」についてと、「若者の野球振興と、地域の交流を生み、青少年健全育成に役立つ」ということについて答えがありました。
市長からの市民への説明を求めた答弁がないこと、議員として市長に求めた質問に答えないこと、そして、
市長からの地盤瑕疵を踏まえた政治的判断に関する説明が一度もないまま、議会が明日の補正予算審議に臨まなければいけないことは本当に残念でした。
一応私も議会にいるので、議会の経緯は十分わかっていますし、この規模である
必要性の質問に対する答弁のほとんどが「議会で認めてきた」という手続き論であることに、手続き論が先行しているのではないかという懸念を強めざるを得ません。
さらに、最後に触れられた必要性の部分も、この事業規模に比べて、そして公共施設マネジメントの考えに逆行してまで作るにも関わらず、答弁内容が抽象的すぎます。
平成26年度には、それぞれの議員が委員会の場で「2100人規模とした場合の経済効果の試算」や「大会誘致の現実性の担保」「人口減少局面における野球人口の推移検証」等が求められていますが、それらの検討はされていなかったのでしょうか。
傍から見ていれば、「議会で認めてきたから」「あとから地盤瑕疵が判明して仕方なく」という印象を受け、本当に必要性があって17億8千万円を支出するのか、まるで仕方なく公金を支出するように受け止められかねず、私達議員も市民の説明が難しくなります。
財源の一部に有利な起債である過疎債を使うので問題ないとする意見もありますが、
これも松本市民を含めた国民の税金であることに変わりありません。また、17億8千万円の事業費のうち、過疎債を12億9900万円使うこととなっていますが、事業費の70%は交付税措置がとられ、残り30%にあたる3億8970万円は一般財源であることから、
総工費に占める一般財源の割合の合計は8億2270万円となります。
17億8千万円の重要性を顧みれば、
工事を中止する場合に発生する経費も含め、別の解体予定の学校跡地などの候補地を利用した場合にはいくらかかるのか、2100人規模にこだわらず、すべて芝生席としたらいくらかかるのか、野球以外もできる施設としたら利用者見込みはどうなるのか、維持管理費がかからない設計はどうなのか、といったことを本来十分検討する必要がある内容です。
しかも、不適地とされ、ハザードマップにおける土砂災害警戒区域も一部駐車場にかかっている土地をあえて選定しているということで、その理由の説明がないことは大きな問題であると考えています。
明日15日には総務委員会があり、そこに補正予算としてこの野球場の経費が計上されています。この委員会の中で可決されるかどうかで今後が決まることとなりますが、私は委員ではないので、同会派の所属議員に思いを託して、その議論の行方を見守りたいと思います。
それでは、また明日。
==実際の発言==
あらかじめ断っておきますが、四賀運動広場の老朽化対策に反対するものではなく、また四賀地域における社会体育の場の早急な確保が必要であると認識しています。また、すでに総工費17億8千万円の方向性も先の総務委員会で了承されていますが、市長から、地盤瑕疵を踏まえての市民説明を求めたいという趣旨で、一般質問として取り上げます。
今回これをこのタイミングで取り上げるのは、地盤の瑕疵が発見され、議会で認めてきた前提が崩れたことによるものです。
この運動広場はハザードマップにおける危険区域と隣接しており、駐車場に一部かかっているようです。公共施設を作るならば、普通はその区域から離すこととなっています。
これまで議会として指摘していた候補地への懸念が具体化し、本当に必要性があるのか、これまで誰も引き返せなくなっていたのではないかが懸念されています。
はじめに、ここまでの経過を申し上げます。
平成20年、四賀村当時に建設されたグラウンドの老朽化対策が検討されていましたが、平成24年2月の一般質問における答弁で、中規模大会を誘致する規模として整備することが示されました。ちなみに、現在は浅間の市営球場と、大町市の球場を使ってこの規模の大会は開催されており、塩尻市にも球場があります。
平成25年、実施計画第43号の中で、四賀運動広場の事業概要は「老朽化した施設を改修するもの、また機能面で不足している設備の充実を図るもの」として登載され、その事業費は7億1777万円となっていました。
しかし、翌年平成26年度に挙げられた実施計画第44号には、事業概要として「経年劣化による老朽化や機能面で不備が見られることから、野球場としての機能を加え、施設の高機能化を図り、利用者の需要に応えるよう計画的に整備するもの」と、事業の概要が大きく変わり、事業費は15億1,116万円と倍増しています。
このように事業規模が大きくなる中、当時の議会に私はまだいませんでしたが、議会から疑問を呈する声が多く出されており、議事録を見ると「唐突感がある」「どういった経緯で急に倍増したのか」「ハザードマップの土砂災害警戒区域に駐車場の一部がかかっている」「市街地から比較的距離が離れている」「15億8千万円の総工費は高すぎる」といった様々な懸念が指摘されています。
そして、平成26年7月、13億8000万円に総工費を縮減した案が示されたことで、議会としては了承されました。
翌年、平成27年に私も議会に送り出していただきましたが、その年に工事単価の値上がりと新たな地盤改良の必要性が生じ、2億7千万円経費が増え、総額16億5千万円となったものが総務委員会で了承されました。
この時点で、「高すぎる」として見直しを求めた15億8千万円の当初工事費を上回っているのですが、今回、新たに「地盤が想定外に弱い」という地盤瑕疵が判明し、追加で1億3千万円増額した、17億8千万円という今回の総工費が提示されるに至りました。
地盤の瑕疵がわかった時点で、これまで議会による指摘事項を踏まえて了承してきた前提が崩れたこととなり、その規模や必要性を見直す契機となっているといえます。
先月の総務委員会では2度の継続審査となり、答弁中でも、この規模を建設するには、この地は「適地であるとはいえない」という答弁もされました。そして3回目の総務委員会にて、「総工費の圧縮に努める」という答弁があったことを踏まえ、概算総工費17億8千万円でスタンド席を一部芝生席としながら、2100人規模を維持する方向性が、一部反対意見もある中、了承されることとなりました。
総務委員会の答弁中でも、「議会に都度相談し、認められてきている」という言葉が繰り返されていましたが、それも事実である一方、これまでの6年に亘る議論と変節があり、地盤瑕疵によってこれまで議会で認めてきた前提も崩れています。
「議会での手続きを踏んできたから」という手続き論が先行することなく、本当に必要性があって、将来の松本市のためになるという確信をもって17億8千万円の事業実施を判断しているのか、改めて確認が必要です。
まず、この建設に対して、今後どのような状況が発生するのかについて整理したいと思います。
今年2月定例会の一般質問で、美術館の大規模改修に20億円ほどかかる見込みであることがわかりました。市民芸術館改修費用も今回の補正予算に計上されていますが、建設後に「改修や維持管理費がこんなにかかると思わなかった」と思わないように、今の段階で、将来的にかかる経費を見込むことを、今後の建設事業において教訓としていく必要があります。
他都市における類似施設と比較して、四賀運動広場の将来的な維持管理費をどの程度と見込んでいるのか伺います。
(答弁)
維持管理費に年間1300万円かかるということで、これも今後の必要経費としてしっかり認識しておく必要があります。ところで、将来にわたっての改修費等の見込みは答弁に含まれていませんでした。
松本市が平成28年に策定した公共施設総合管理計画では、今後市の公共施設にかかる維持管理費用の見込みだけでなく、築30年で発生する改修費、築60年で発生する更新費用も含めて計算されています。
これからの公共施設を考える上では、単なる毎年のランニングコストだけでなく、建設後にかかる改修費用も含めて、作る前に精査・検討することが求められます。
担当課に、総合管理計画における改修費用の試算方法について事前に問い合わせたところ、築30年の改修費用は1㎡あたり5万円、築60年経過後の更新費用は1㎡あたり35万円として計算しているということでした。
今回の四賀運動広場改修で、管理棟などの施設部分が現時点で150㎡ありますが、これを2100人規模とする場合、その延べ床面積はおよそ2700㎡に拡大することとなります。
さきほどの1㎡あたり5万円という改修費用にあてはめれば、5万円×2700㎡で、改修に1億3500万円が見込まれます。
ただし、かりがねサッカー場が約13億円、市営球場が約10億円の改修費用とされていることからも、もっと費用はかかってくるものと考えるべきです。
ちなみに、更新費用は、1㎡あたり35万円×2700㎡で、9億4500万円と算出されます。今回の建設総工費17億8千万円と比較しても、増大した工事費の大きさが見て取れます。
これだけの改修費用、維持管理費用がかかることが想定されていますが、先程も紹介した市民芸術館、美術館が建設された当時は、まだ行政側にも市民側にも、こんにちほど公共施設の将来的な経費や面積削減の重要性が認識されていなかった頃であったと思います。
この四賀運動広場についても、中規模大会誘致の規模と示されたのは6年前であり、そのときとは社会情勢は大きく変わってきています。
続いて、公共施設マネジメントの観点からお聞きします。
松本市では、2045年度までにかかる公共施設の必要経費は、改修・更新・維持管理費用あわせて1年あたり102.7億円の見込みで、人口減少、少子高齢化により、このままでは一年あたり28.5億円の財源不足に陥ることがわかっています。
このような財源不足に陥らないようにするには、公共施設の延べ床面積を、2025年度までに10%、2045年度までに20%削減しなければいけません。身の回りにある公共施設を2割削減するということは、想像するに簡単なことではありません。
これを推進するため、先月策定された公共施設再配置計画では、施設のタイプ別に削減目標が建てられています。四賀運動広場の属する「スポーツ・公園施設」は、2025年までに今より94%、2045年には87%まで削減することとされています。
その中で、先程も触れたとおり、今回の四賀運動広場改修によって、150㎡の延べ床面積が、およそ2700㎡に拡大します。差し引き、約2500㎡延べ床面積が増えるということです。
これがどれくらいのイメージかというと、出張所や地域づくりセンターに隣接する地区体育館がありますが、これがおおよそ1000㎡程度であり、この地区体育館2つ半に匹敵します。
四賀運動広場をこの規模に改修することで、もとの削減目標に加え、地区体育館2つ半分を削減しなければならないこととなります。ちなみに、「スポーツ・公園施設」全体面積のうちのおよそ3%を占めることとなりますから、今の目標では、2025年までに面積を9%も削減しなければいけないこととなります。
前回の2月定例会一般質問において、公共施設マネジメントを推進する体制について質問をさせていただきました。その答弁で、財源不足に陥らないようにするため、強力に、統括的に取り組む市の姿勢を答えていただきましたが、今回の四賀運動広場の面積拡大や、昨今の新庁舎や博物館の建設面積を見るにつけて、本当に強力に、そして統括的に公共施設マネジメントを市として考えているのか、疑問を感じます。
この増える2500㎡の敷地面積について、公共施設再配置計画における個別施策計画の中でどうやってその調整を図るつもりなのか、伺います。
(答弁)
公共施設マネジメントの流れに逆行する以上、その必要性には明確な説明が求められます。
「公共施設は一部の人のためのもの」という意見がありますが、それなら当初通りグラウンドの老朽化対策でよかったと思います。それを、あえて2100人規模で、中規模大会を誘致する球場にしようというのだから、それこそ松本市全体のメリットと必要性のある球場とならなければいけません。
公共施設再配置計画には、市民アンケートが添付されていて、野球場のことや特定団体が利用する施設の必要性についてのデータが載っていますが、時間がないのでここでは割愛します。
次にお聞きしたいのが、これもよく指摘されていることですが、松本市ではこれまで、県に対して県営球場の誘致をしていますが、この要望活動との関連性と、2100人規模の四賀運動広場ができることで、この誘致活動に影響はないのか伺います。
(答弁)
また、2100人規模となることで、どの程度大会数と利用日数が増加すると見込んでいるのか、以上2点について伺います。
(答弁)
県営誘致の支障とならないのは、県の事業という説明に加えて、県営球場が3万人規模であり、四賀運動広場は地域における球場で規模も違うから、あくまでも松本市とその周辺において浅間の市営球場を補完するものだと、平成26年7月の委員会で当時の担当課長が説明しています。
ここで言う「市営球場を補完する」がどういうことかといいますと、26年9月の教育民生委員会で、当時の課長が、「補完するとは、浅間の市営球場を改修している最中の、利用できないときに利用するという意味ではない」、「浅間の市営球場をメイン会場、四賀運動広場をサブ会場としている16大会の、会場の質の差を埋めたい」、「混んでいる市営球場で、やりたくてもできないものを四賀運動広場で行いたい」という意味であると説明されています。
仮に県営球場誘致に成功した場合、県営球場と市営球場でこれらの内容はクリアできるのですが、四賀運動広場の整備目的である「市営球場を補完する機能」はどうなってしまうのでしょうか。
また、2100人規模であることによる利用見込みは、主に5大会の誘致と年間365日のうちの18日間ということでした。
26年9月には、規模の必要性を質した議案質疑に対して、「野球利用ニーズの高まり」と答えていますが、人口減少の局面にある中、いつまでのことを指すのでしょうか。
10年、20年たって、将来の松本市のこどもたちから「どうして当時の松本市は、この規模の野球場をこの地に作ったのだろうか。」と言われないためにも、その有効性と必要性については、ひろく理解を得られるように改めてしておくことが求められます。
6年間の議会での議論を通して、「本会議でこの規模とすることを答弁したから」、「議会で承認・議決されてきたから」といった手続き論に縛られ、地盤の瑕疵発覚後も、誰も立ち止まることができずにここまで来てしまったということはあってはならないことです。
部長から有効性・必要性の説明は委員会審査で何度もお聞きしていますが、今の段階では、議員としてしっかりと市民に説明ができないでいます。
市長として、今回の地盤の支持力不足という瑕疵発覚を踏まえて、規模や事業費をゼロから見直すことも考えられました。しかし、地盤の瑕疵や増大する事業費・維持費と比較しても、将来の松本市のためになると判断されたからこそ、公共施設マネジメントの流れに逆らって、建設を進めるということで政治的判断をされたものと思います。
地盤瑕疵を踏まえた四賀運動広場改修のメリットと必要性について、まだ市長から市民に対しても説明をされたことがないと思いますので、どのように検討したのか、その政治的判断について、市民への説明を求めたいと思います。
(答弁)
市長からの市民への説明を求めた答弁がないこと、そして、市長からの地盤瑕疵を踏まえた政治的判断に関する説明が一度もないまま、議会が補正予算審議に臨まなければいけないことは本当に残念としかいいようがありません。
今は議会としての経過、議会側の視点など聞いていませんし、一応私も議会にいるので、そんなことは十分わかっています。しかも、この規模である必要性の質問に対する答弁のほとんどが「議会で認めてきた」という手続き論であることに、さきほどから申し上げている手続き論が先行している懸念を強めざるを得ません。
さらに、最後に触れられた必要性の部分も、この事業規模に比べて、そして公共施設マネジメントの考えに逆行してまで作るにも関わらず、答弁内容が抽象的すぎると言わざるを得ません。
平成26年度に議員が委員会の場で求めてきた「2100人規模とした場合の経済効果の試算」や「大会誘致の現実性の担保」「人口減少局面における野球人口の推移検証」等の検討はされていなかったのでしょうか。
傍から見ていれば、「議会で認めてきたから」「あとから地盤瑕疵が判明して仕方なく」という印象を受け、本当に必要性があって17億8千万円を支出するのか、まるで仕方なく公金を支出するように受け止められかねず、私達議員も市民に説明ができなくなってしまいます。
財源の一部に有利な起債である過疎債を使いますが、これも松本市民を含めた国民の税金であることに変わりありません。また、事業費のうち、過疎債を12億9900万円使うこととなっていますが、事業費の70%は交付税措置がとられ、残り30%にあたる3億8970万円は一般財源であることから、総工費に占める一般財源の割合の合計は8億2270万円となります。
今回は工事中の瑕疵発見であり、半年間も工事を中断していることから、今のベターな案を出さざるを得なかったことも理解しますし、現実問題に対する担当課としての対応はそこまで間違っていなかったと思います。
しかし、17億8千万円の重要性を顧みれば、工事を中止する場合に発生する経費も含め、別の解体予定の学校跡地などの候補地を利用した場合にはいくらかかるのか、2100人規模にこだわらず、すべて芝生席としたらいくらかかるのか、野球以外もできる施設としたら利用者見込みはどうなるのか、維持管理費がかからない設計はどうなのか、といったことを本来十分検討する必要がある内容です。
しかも、不適地とされ、ハザードマップにおける土砂災害警戒区域も一部駐車場にかかっている土地をあえて選定しているということでもあります。
金曜日の委員会に向けて、その必要性等については再度十分に検討することを求めて、以降の議論は委員会の場に譲ることとし、私の質問を終結します。
以上。
■
SNSの登録をお願いします。
twitter
@aoki1230
Facebook
青木たかし
Facebookページ
青木 崇