2019年03月07日

公害対策で4億8千万円投入し、経営赤字の四賀有機センター。四賀地区の鶏糞しか処理できず、廃止もできないのはなぜか。

こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。

本日で、平成最後の2月議会一般質問が終わりました。私は今回登壇できませんでしたが、12月議会一般質問では、四賀有機センターについて、質問をしていますので、そのことについて報告したいと思います。

公害対策で4億8千万円投入し、経営赤字の四賀有機センター。四賀地区の鶏糞しか処理できず、廃止もできないのはなぜか。
12月11日付市民タイムスより

私が議会に入る前、議会の全会一致でこのような提言書が出されていました。

平成26年度 松本市議会 四賀有機センターのあり方に関する提言書
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/sigikai/kihonjyorei/seisaku_teianteigen/teigensyo.files/keizaikankyou26.pdf

1,公害対策として4億8千万円を投入し、経営赤字も出ている中、なぜ廃止・譲渡ができないのか?

この施設は四賀地区にある市直営施設で、畜産振興を目的に平成12年、四賀村当時に建設されたものです。現在でも稼働していて、四賀地区内で発生した民間鶏糞を処理して、堆肥化し、販売しています。
これまでに、施設外に漏れる強い臭気の対策のため、松本市としておよそ1億6千万円支出しており、ランニングコストや修繕費を含めれば、平成17年度の四賀村合併以降、市が支出した総額はおよそ4億8千万円ほどと算出されています。
そして、この堆肥がなかなか売れ行きが伸びず、平成29年度決算ベースでは、1年間で1600万円ほどの経営赤字となっています。

公害対策で4億8千万円投入し、経営赤字の四賀有機センター。四賀地区の鶏糞しか処理できず、廃止もできないのはなぜか。
施設の位置

公害対策で4億8千万円投入し、経営赤字の四賀有機センター。四賀地区の鶏糞しか処理できず、廃止もできないのはなぜか。
航空写真

この施設については、当時の四賀村が、平成12年の建設時に、地元2町会と次のような協定書・覚書を締結しています。

1 原料は村内で発生するものに限る
2 公害等を一切排除する。
3 管理運営は四賀村が行う。

この覚書が合併後にそのまま松本市に引き継がれたことで、市はさきほどの公害対策を実施することとなり、今も施設に搬入される鶏糞は四賀地区内に限定され、当施設を市が直営することとなっています。一方、市ではあり方検討会を開催し、平成32年度までの指定管理者制度の導入、そして、32年度以降の民間払い下げまたは譲渡をする方針を決定。その後、地元町会との協議が継続されています。

昨年開催された決算特別委員会では、この市営施設で処理しているほとんどが、民間業者による鶏糞であることが明らかとなり、多くの委員からこの施設についての指摘がありました。平成27年度には、冒頭触れたとおり、松本市議会としても、この施設をできるだけ早い時期に譲渡、あるいは廃止することを提言しています。

この提言から3年が経っており、これまでに多くの市税が支出されていることから、現状や見通しについて、透明性を確保する必要があります。
あり方検討会における指定管理者制度が現段階で導入されていない理由と、今後の見通し、また、市直営での運営というのは、合併協定に含まれているのかについて質問しました。

(答弁)◎農林部長
 議員からご指摘のありましたとおり、四賀有機センターを開設するに当たり、当時の四賀村と地元町会の皆様が交わした協定書と覚書がございます。したがって、指定管理者制度の導入に当たりましては、協定書の見直しと再締結が必須でございますが、いまだ地元町会の了解をいただけず、指定管理者制度導入に至っておりません
 今後の見通しにつきましては、これまで重ねてまいりました地元町会の皆様との協議の中で、一定のご理解はいただけているとの感触を得ておりますので、一層粘り強く丁寧な協議により信頼関係を築き、指定管理者制度の導入に向けて進めてまいります。
 市直営による運営が合併協定に含まれているのかにつきましては、合併協定には含まれておりません
以上。


2,収支均衡を目指すため、処理手数料引き上げを

この答弁の通り、直営施設とすることは、合併協定には含まれていないことがわかりました。続いて、鶏糞搬入にあたっては、処理手数料を業者から頂いています。2010年4月までは1トンあたり1,000円でしたが、現在いくらもらっていて、これをいくらにすれば、先程申し上げた経営赤字が収支均衡となるのか、また、処理手数料の早期見直しの計画はあるのかを質問しました。

(答弁)◎農林部長
 畜ふん処理手数料は、1トン当たり1,540円でございます。平成28年度及び平成29年度実績から求めた平均処理量のもとで、収支均衡とするには、1トン当たり3,780円と、現状の2.45倍に当たる水準への値上げが必要と試算しております。
 手数料の見直しにつきましては、現在、具体的なスケジュールは持っておりませんが、センター利用者も交えた検討会議に、ただいまお示しした試算も資料として提示し、検討に着手しているところであります。
以上。


3,民間鶏糞を税金で処理する法的根拠はあるのか?

議会としても、市の財政への負担があることが指摘されていることから、検討会議で理解をもらえるように対応を進めてもらうことを求めました。
また、市直営施設でほぼ民間鶏糞を処理している状態は、法的には問題ないのか、法的根拠はどこにあるのかということを質問しました。


(答弁)◎農林部長
 四賀有機センターは、地方自治法第244条の規定に基づく公の施設として設置しており、使用する原料は、松本市四賀有機センター条例第4条で、市内から排出される市が設置した合併処理浄化槽及び公共下水道の余剰汚泥並びに畜ふん、きゅう肥と規定されております。
以上。


4,この施設に大規模改修のため、さらに費用をかける予定はあるのか?

この施設は、平成12年2月に開業して以来、これで20年弱が経過しています。美術館・芸術館も現在築後20年が経過し、大規模改修の時期を迎えていますが、この施設も、これから大規模改修の必要性が生じるのであれば、更なる支出が想定されることになります。施設の屋根は木が使われていて、その腐食への対応も必要な中、今後経年劣化による大規模改修をする予定があるのか、市に質問しました。

(答弁)◎農林部長
 議員のご質問でも触れておられる市のあり方検討会で、今後のあり方を民間への払い下げ、または譲渡と結論づけておりますことから、修繕につきましては、公害を発生させない環境維持や安全性の確保に必須なものを実施しており、大規模改修は計画しておりません
以上。


5,廃止を含め、6年前の結論の再検討を!

大規模改修は実施しない予定であるとの判断をお聞きしました。そこで、大規模改修を予定しない中で、今後の施設のあり方について質問しました。
平成27年度の議会からの提言では、民間への譲渡、あるいは廃止を検討することを提案しています。その3年前の平成24年、庁内で開催された四賀有機センターあり方検討会では、32年までの指定管理導入、32年以降の民間払い下げあるいは譲渡が結論付けられたことは先程も述べたとおりです。
払い下げの時期が曖昧なこともありますが、今後大規模改修を行わないとすれば、その後を受け持つ民間払い下げは実現するのでしょうか。この平成24年の庁内会議ですが、3回の庁内会議のみでこういった結論が出されています。今から6年前に出された結論であり、その3年後に市議会からも廃止も含めた提言がなされる中、改めて検討会を設置する等して、廃止も含めて今後の施設のあり方を見直すべきであり、その点を質問しました。


(答弁)◎農林部長
 現在、あり方検討会の結論に沿って、まずは指定管理者制度の導入に向けて、地元町会の皆様と協議を重ね、信頼関係を築いている最中でございますので、今、改めて検討会を設置することは考えておりません
 また、四賀有機センターは、建設時に国の補助事業を活用し、2030年度までは耐用年数による処分制限もあり、議員ご提案の施設の廃止は、方策が尽きたときの最後の選択肢と認識しております。
以上。


2030年度までの耐用年数による処分制限があるため、廃止は方策が尽きた最後の選択肢という話で、非常に困難な状況にある一方、庁内検討会議が結論づける民間譲渡や払い下げであっても、その耐用年数の処分制限に結局はかかることとなり、補助金返還の必要性が生じてしまいます。
結局、この平成32年度以降の民間への払い下げ、譲渡という結論も、困難な選択であることがわかります。

このまま2030年度まで市でもつことになれば、毎年の経営赤字も累積することとなり、老朽化によって修繕費も一層かかることになるのではないかと危惧します。検討会設置は考えていないという答弁でしたが、この状況を踏まえれば、早急に今後のこの施設、どうするのかということについて、また、どうしたら市民理解が得られるのかについて対策を講じるべきであり、その検討を要望しました。

以上が、12月議会におけるやりとりです。今後も、次世代に負担を回さない、二元代表としての議会をしっかりと機能させるべく、真剣に松本の行財政改革に取り組んで参ります。

それでは、また明日。



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