2017年08月03日
保健所は松本市単独での設置を検討中。コストが大幅にかかるが、そのメリットは?
こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。
松本市では、次期市長選の一ヶ月後となる2020年4月に中核市に移行することを目指しています。
中核市の詳細についてはこちらの記事を御覧ください。
中核市に移行した場合、県からの事務手続きや財源の移譲に加え、保健所を市で設置する必要があります。
保健所は、
(1)県と市が共同で設置し、業務を実施する
(2)県から委託を受けて、業務を実施する
(3)市単独で設置する
の3つの選択肢があります。
保健所は建設費用がかかる上、医師や獣医師、薬剤師などの専門職を雇用し、育成し、業務管理をすることも必要で、そのために費用も職員も必要となってきます。
松本市は合同庁舎に県の保健所を有することから、この既設の保健所を活かして(1)か(2)の方法を取ることで、これらのコスト・人材面の課題をクリアするものと思っていました。
その後、松本市役所では中核市移行に伴う保健所のあり方を検討する第1回目の有識者会議が開かれたようで、そこで(3)市で単独設置をする方向性で検討をしていくという方針が明らかとなりました。
7月31日付市民タイムスより
そのメリットを、健康寿命延伸都市の更なる推進のため、市独自の健康関連施策が実施できることが挙げられたと報じられています。
この記事でも触れられていますが、埼玉県越谷市は2015年4月1日に中核市へ移行した都市で、保健所を単独で設置した事例であったため、今回その実態やメリットを調査するべく視察をしました。
埼玉県越谷市保健所
まず、越谷市は平成21年まで松本市のように保健所を有していましたが、県による再編で廃止されていたようで、これが市の単独設置を決めた理由のひとつとなったとされました。そして、設置場所については、市役所は古く、手狭で、耐震性能にも課題があったことから、別の場所に新設するということにもなったそうです。
保健所の建設費用は20億円かかったとのことでした。この建設費は、県や国の補助を使えないようです。敷地面積は5,923.46㎡の3階建て。
また、越谷市では保険業務をやったことはなく、その職員をどう確保するか、また研修をどうするかという課題があったため、4年間かけてこれらの対策を計画的に進めたといいます。
中でも、人材確保は困難だったようで、特に医師を確保することや、研修を行って職員を育成することについては業務量が大きく増加したといいます。
越谷市は34万人の人口ですが、今回新設した保健所は現在職員数61人。中には県からの派遣職員も含まれますが、これでもまだ体感としては人員が不足しているといいます。
また、平成26年度は20人の職員研修を行い、人材育成を行ったとのこと。人件費は、年間でおよそ5億3千万かかっているそうです。
そして、保健所で行う食品、食中毒、感染症等の検査は、高価な検査機が必要であることも多く、頻度が少ないものについて等は、県の保健所に検査を委託することもできます。
越谷市の方針としては、食中毒などの緊急性の高いものは自前で実施し、使う頻度が低かったり、コストがかかるものについては、職員の熟練度も高く、高価な検査機がある県の保健所に委託をするということにしているようです。
更に、保健所を設置するということは動物の保護、管理も管轄することとなります。
ここ2年間で、地域のNPO団体の協力により、越谷市保健所では殺処分数0としているとのこと。
市が保健所を単独設置し、運営するメリットについては、専門職が居ることで、専門的立場の職員がそれぞれの施策に関わり、市民の健康危機にすぐ対応でき、市民に寄り添ったサービスが可能となることがわかりました。
たとえば、自殺対策、生活保護と精神保健との連携が可能となるなどが挙げられ、越谷市では今後、そういった市独自の取り組みも検討しているとのこと。
県の判断を待たずに、産業廃棄物指導、健康づくり、動物保護など市独自に施策を展開できるということは、たしかに魅力的であると思いますが、誰もが明確にそのメリットを納得できるかというと、十分な研究と説明が必要であると感じています。
さて、今回の調査を経て、松本市において市単独で保健所設置を考える場合、次の課題を今後調査・研究する必要がありそうです。
1,専門職である人材の確保・育成・業務管理をどうするか
2,建設費用・建設地をどうするか、市の独自施策はどんなものを想定するのか
3,合同庁舎に設置されている県の松本保健所との関係性をどうするか、二重行政にならないか
これらの課題をもとに、市単独設置のメリット・必要性を明確にできるかが問題となりますが、まだ議会でこの単独設置の話ははかられていないため、改めてこの点については委員会の場で議論をしていきたいと思います。
■
ちなみに、越谷市の中核市移行にあたってのメリットは、
1,市民生活の質の向上
・福祉施設や産業廃棄物処理業者に対して監査や指導ができるようになる。
2,市民の利便性の向上
・身体障害者手帳の交付期間の短縮
・母子父子寡婦福祉資金の貸付等の対応が速やかに
・精神保健相談が身近になる
3,危機管理への対応
・新型インフルエンザ発生時に、県の判断を待たずに迅速な対応ができる
・大規模災害、複合災害の発生時に高度救助隊による救出行動が可能となる
が挙げられていました。
中核市移行については、より市民に寄り添った行政サービスが可能となることはわかりましたが、県から権限が移譲されることで、業務が増加することで職員数が必要となり、これまで県の財政負担分だったものが市の負担となることも想定されます。
県との連携も必要となりますが、市も慎重に検討するとされており、松本市民にとって最善の形となるように、今後も研究していきます。
それでは、また明日。
【今日の話題】
■
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松本市では、次期市長選の一ヶ月後となる2020年4月に中核市に移行することを目指しています。
中核市の詳細についてはこちらの記事を御覧ください。
2017/05/22の記事
中核市に移行した場合、県からの事務手続きや財源の移譲に加え、保健所を市で設置する必要があります。
保健所は、
(1)県と市が共同で設置し、業務を実施する
(2)県から委託を受けて、業務を実施する
(3)市単独で設置する
の3つの選択肢があります。
保健所は建設費用がかかる上、医師や獣医師、薬剤師などの専門職を雇用し、育成し、業務管理をすることも必要で、そのために費用も職員も必要となってきます。
松本市は合同庁舎に県の保健所を有することから、この既設の保健所を活かして(1)か(2)の方法を取ることで、これらのコスト・人材面の課題をクリアするものと思っていました。
その後、松本市役所では中核市移行に伴う保健所のあり方を検討する第1回目の有識者会議が開かれたようで、そこで(3)市で単独設置をする方向性で検討をしていくという方針が明らかとなりました。
7月31日付市民タイムスより
そのメリットを、健康寿命延伸都市の更なる推進のため、市独自の健康関連施策が実施できることが挙げられたと報じられています。
この記事でも触れられていますが、埼玉県越谷市は2015年4月1日に中核市へ移行した都市で、保健所を単独で設置した事例であったため、今回その実態やメリットを調査するべく視察をしました。
埼玉県越谷市保健所
まず、越谷市は平成21年まで松本市のように保健所を有していましたが、県による再編で廃止されていたようで、これが市の単独設置を決めた理由のひとつとなったとされました。そして、設置場所については、市役所は古く、手狭で、耐震性能にも課題があったことから、別の場所に新設するということにもなったそうです。
保健所の建設費用は20億円かかったとのことでした。この建設費は、県や国の補助を使えないようです。敷地面積は5,923.46㎡の3階建て。
また、越谷市では保険業務をやったことはなく、その職員をどう確保するか、また研修をどうするかという課題があったため、4年間かけてこれらの対策を計画的に進めたといいます。
中でも、人材確保は困難だったようで、特に医師を確保することや、研修を行って職員を育成することについては業務量が大きく増加したといいます。
越谷市は34万人の人口ですが、今回新設した保健所は現在職員数61人。中には県からの派遣職員も含まれますが、これでもまだ体感としては人員が不足しているといいます。
また、平成26年度は20人の職員研修を行い、人材育成を行ったとのこと。人件費は、年間でおよそ5億3千万かかっているそうです。
そして、保健所で行う食品、食中毒、感染症等の検査は、高価な検査機が必要であることも多く、頻度が少ないものについて等は、県の保健所に検査を委託することもできます。
越谷市の方針としては、食中毒などの緊急性の高いものは自前で実施し、使う頻度が低かったり、コストがかかるものについては、職員の熟練度も高く、高価な検査機がある県の保健所に委託をするということにしているようです。
更に、保健所を設置するということは動物の保護、管理も管轄することとなります。
ここ2年間で、地域のNPO団体の協力により、越谷市保健所では殺処分数0としているとのこと。
市が保健所を単独設置し、運営するメリットについては、専門職が居ることで、専門的立場の職員がそれぞれの施策に関わり、市民の健康危機にすぐ対応でき、市民に寄り添ったサービスが可能となることがわかりました。
たとえば、自殺対策、生活保護と精神保健との連携が可能となるなどが挙げられ、越谷市では今後、そういった市独自の取り組みも検討しているとのこと。
県の判断を待たずに、産業廃棄物指導、健康づくり、動物保護など市独自に施策を展開できるということは、たしかに魅力的であると思いますが、誰もが明確にそのメリットを納得できるかというと、十分な研究と説明が必要であると感じています。
さて、今回の調査を経て、松本市において市単独で保健所設置を考える場合、次の課題を今後調査・研究する必要がありそうです。
1,専門職である人材の確保・育成・業務管理をどうするか
2,建設費用・建設地をどうするか、市の独自施策はどんなものを想定するのか
3,合同庁舎に設置されている県の松本保健所との関係性をどうするか、二重行政にならないか
これらの課題をもとに、市単独設置のメリット・必要性を明確にできるかが問題となりますが、まだ議会でこの単独設置の話ははかられていないため、改めてこの点については委員会の場で議論をしていきたいと思います。
■
ちなみに、越谷市の中核市移行にあたってのメリットは、
1,市民生活の質の向上
・福祉施設や産業廃棄物処理業者に対して監査や指導ができるようになる。
2,市民の利便性の向上
・身体障害者手帳の交付期間の短縮
・母子父子寡婦福祉資金の貸付等の対応が速やかに
・精神保健相談が身近になる
3,危機管理への対応
・新型インフルエンザ発生時に、県の判断を待たずに迅速な対応ができる
・大規模災害、複合災害の発生時に高度救助隊による救出行動が可能となる
が挙げられていました。
中核市移行については、より市民に寄り添った行政サービスが可能となることはわかりましたが、県から権限が移譲されることで、業務が増加することで職員数が必要となり、これまで県の財政負担分だったものが市の負担となることも想定されます。
県との連携も必要となりますが、市も慎重に検討するとされており、松本市民にとって最善の形となるように、今後も研究していきます。
それでは、また明日。
【今日の話題】
中山の樹林墓地、来月には完成し、960区画設けるとのこと。
— 青木たかし(最年少松本市議会議員) (@aoki1230) 2017年8月2日
市民か、本籍が松本にある人が対象で、後継ぎがいないことで墓じまいをする人が増えて来た中、需要が大きいと見込んでいます。
墓地からの見晴らしも良く、使用料は11万円〜。
本日付市民タイムスより pic.twitter.com/JJYAJzC89k
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中核市議会だよりコンクール最優秀賞の呉市議会。松本市も審査項目を精査してデザインの改良を!
市出資法人の経営状況を調査する特別委員会を設置している下関市議会を視察。
中核市移行は「手段」であり、それによって何をしたいのかが重要に。移行による効果など、特別委員会の視察報告
芸術館の曲走エスカレーター撤去、防災物資拠点の2月運用、中核市移行による保健所設置予定など、総務委員会懸案事項の視察報告
新庁舎建て替えの反省点。市長選での見直し事例も多く、市民の声を時間をかけて聞き取ることは重要。デザイン性より市民目線を。
小諸市の停車場ガーデンを視察。松本市内でも、市民協働でガーデニング空間はできるか
市出資法人の経営状況を調査する特別委員会を設置している下関市議会を視察。
中核市移行は「手段」であり、それによって何をしたいのかが重要に。移行による効果など、特別委員会の視察報告
芸術館の曲走エスカレーター撤去、防災物資拠点の2月運用、中核市移行による保健所設置予定など、総務委員会懸案事項の視察報告
新庁舎建て替えの反省点。市長選での見直し事例も多く、市民の声を時間をかけて聞き取ることは重要。デザイン性より市民目線を。
小諸市の停車場ガーデンを視察。松本市内でも、市民協働でガーデニング空間はできるか
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