2018年06月26日

四賀野球場改修に消極的賛成をした理由。1週間かけて有志議員達と調査・検証し、将来の松本市のことを真剣に考えた結論です

こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。

21日で議会が閉会となり、四賀運動広場は本会議で賛成多数で可決されましたが、諸事情によって取り急ぎ、私の判断と立場を説明したいと思います。

四賀野球場改修に消極的賛成をした理由。1週間かけて有志議員達と調査・検証し、将来の松本市のことを真剣に考えた結論です
22日付け市民タイムスより


私は本件について1週間、有志の議員達とともに、委員会審査で出てきた新情報を検証しながら、各担当課に独自で聞き取りを行い、それらをもとにして真剣に考え、悩み、将来の松本市のためにはどうするのがベストなのかを毎日話し合い、各種行動を起こしてきました。

この間精査した懸念材料に対して、四賀住民の社会体育の場の確保が早期に必要であることや、工事中止による訴訟リスクがあること、補正予算案否決の可能性が低い見通しであること等の現実問題を踏まえて、「消極的ながら賛成」することで、本件について当事者意識と責任を持って今後取り組んでいく決断をし、今回の結論を出しています。

そして、こちらのブログにある発言録を読んでいただければわかることですが、私も有志議員も、議会内では事業実施にあたっての市長からの説明を求めたり、新情報検証のための時間不足から保留としたりしたものであって、反対表明をしていないことは明言しておきたいと思います。






私も一般質問で取り上げ、別の議員が委員会の場で質してきましたが、6月議会での議論によって


・維持管理費が年1300万円

・2100人規模であることによる利用日数が年間18日間

・安全を担保するための事前調査として、ボーリング調査の本数が、概算要求時点より2〜3本削減されていた

・もとのグラウンド形式で整備した場合、その整備費はおよそ11億円


等のことが初めてわかりました

これらの新情報を踏まえて、閉会までの1週間、有志の議員とともに毎日調査・検証を重ねました。

糸魚川静岡構造線断層帯の全体が動いた場合、建設地では最大震度7が想定される中、震度7まで耐えうる杭基礎・建築物であることを確認しました。ただし、土砂災害警戒区域に駐車場の一部がかかっている隣地で、支持基盤が傾斜している軟弱地盤にコンクリートの構造物を建設した場合、その地盤がどのような影響を受けるのかという点は、現時点の基準では判断が困難です。

また、詳細は下の発言録を御覧いただきたいですが、もとのグラウンド形式に戻したとしても、工事解約の補償料等で17億8千万円に匹敵する可能性があることも、工期が半年以上伸びる可能性があるとされたことも、この6月議会中の議論で初めてわかったことです。

これらをもとに本件に疑問を感じている各議員と話し合い、補正予算の修正案を議員提案できないか、退席という選択肢はどうなのかということも話し合い、会派でも議論を重ねてきました。

予算案否決の可能性が低いことも踏まえた結果、むしろ「消極的賛成」をすることで、松本市民の方が「この地にこの規模の四賀運動広場を作ってよかった」と思ってもらえるようにする責任を一緒に負うことが松本市の将来のためになると判断し、今回の結論に至っています

そのため、閉会日の意見陳述の場では、経済効果の検証や大会誘致の実現性の検証などを当局に求めています。

言いたいことはたくさんありますが、私が今回どういう理由説明のもとで消極的賛成をしたのか、どういう覚悟で採決に臨み、どういった問題点を指摘したかったのかを報告させていただきました。

具体的には、以下の公開されている当時の録画と、その時の発言録をぜひお読みいただきたいと思います。

詳しくは、また改めて書きたいと思います。








===意見陳述の場での発言録===

 議案第5号平成30年度一般会計補正予算(第1号)中、四賀運動広場改修に関わる経費について、賛成の立場から、指摘事項を申し上げます。

 冒頭断っておきますが、四賀運動広場の老朽化対策は早期に実施すべきであるという立場であることをあらかじめ表明します。

 今回指摘しておきたいことは、当初概算要求していたボーリング調査の本数が2〜3本削減されており、事前の地盤調査がしっかりとなされていれば、このような費用負担も生じず、困難な局面には陥らなかった可能性が高いことと、6月15日の総務委員会における委員会審査で新しく出てきた情報について、その精査・検証が不足しているということです。

 委員会審査後に配布された追加資料も踏まえますと、現工事を中止して、グラウンドのみを整備する場合の経費が概算11億502万5千円であり、その場合の工期は6ヶ月程度伸びることがわかりました。また、委員からの、傾斜する支持基盤に対する安全面の懸念に対し、一般の建物に比べて、より安全性は保たれているということで答弁がありました。

 グラウンドのみの整備に本当にそれだけの総工費がかかるのか、工期は本当にこれ以上短縮できないのか、支持力が弱く、支持基盤の傾斜している土地にコンクリートの構造物が建設されたときに、どのような影響があるのか、現時点ではその確証を持つことはできません。

 さらに、先月の総務委員協議会においては、総工費17億8千万円の節減に努めることを前提として了承とされていますが、いくら節減することができるのか、その根拠も示されていません。

 そして、この運動広場と道を挟んだところに位置する舗装されていない駐車場、これは、当初15億8千万円の総工費を13億8千万円に圧縮する際、舗装しないこととしたものですが、この運動広場整備をきっかけとして、この駐車場の舗装であったり、周辺道路の整備など、せっかく作るならということで、総工費17億8千万円以外の経費が、今後発生することが予想され、効果的な地域活性化という観点からは、それらを否定することは困難です。

 このような地盤瑕疵が発覚した場合、本来であれば、芝生席をさらに増やせないのか、別の形態の球場で経費削減できないのか、2100人という数字にこだわらなくてもいいのではないか等、他のスタンドのあり方も試算し、慎重に比較・検討されるべきです。

 また、スポーツ施設として整備するのであれば、建設コスト回収という考え方はふさわしくありませんが、地域活性化という目的をもって整備するのであれば、そのコスト回収も考えることが一般的です。2100人規模であることによって誘致できる大会の経済効果も試算されていない状況で、その費用対効果には疑問を持たれてしまいます。

 以上の理由から、現時点の検証段階では、本案件に積極的に賛成することはできません。
 
 一方で、現工事を中止して、グラウンドのみを整備する場合の経費が概算11億502万5千円と示されていることについて、その多寡の精査もできていないことに加え、改修前と同程度の500席規模とし、会議室等を設けるにあたっては、これとは別に、更に費用がかかることとされています。

 さらに、契約済み工事の違約金の最少額として8000万円とされていますが、工事が半年以上中断すると発生する「受注者の解除権」が既に発生する半年を過ぎていることと、その違約金や補償料は実際には不確定であることから、結局ここで中断することで、以前の500人規模のグラウンドに整備したとしても、今の総工費17億8千万円に匹敵する、あるいはそれを上回ってしまうというリスクもありえます。

 そして、四賀在住の社会体育に携わる方々におかれては、本工事が中断していることから、早期の社会体育の場の整備が求められていることもお聞きしており、地元住民の立場からは、ここで工事を中止することによる供用開始の延期は極力避けなければいけません。

 以上のことから、ここで本案件に反対とすることは現実的とはいえません。これらを踏まえ、現時点で賛否を問われれば、議員として賛成せざるを得ないということになります。

 しかし、そもそも、6月15日の総務委員会審査によると、当初概算要求していたボーリング調査の本数より、2〜3本削減して調査を実施したとされています。本来、その調査がしっかりとなされていれば、工事が始まってから地盤支持力不足が判明することや、「受注者の解除権」という時間的制限がある中、様々な検討・試算を出す時間的余裕もないこと、その一方で、工事を中断することも現実的ではないという、今回のような局面に陥ることはなかったはずです。

 さきほどの委員長報告にもありましたが、安全面を担保する地盤調査を削って、今回の費用負担が発生したことは市当局の責任であり、結果、そのことによってどれくらいの費用負担を松本市が負わなければならなくなったのか、よく考えてほしいと思います。

 今後当局におかれては、事前の調査不足によって、議会も判断に窮するこのような局面に陥ったことを深く反省し、今後の対応として次の精査を求めます。

 この経済効果がどの程度で、何年で建設コストと維持管理費を回収することができるのか、2100人という規模を活かした利用をどれだけ伸ばすことができるのか、今議会に示している各種大会誘致をどれだけ実現できるのか、今後健康寿命延伸都市の中でどのような野球スポーツの振興戦略を描いていくのか、土砂災害警戒区域に駐車場の一部がかかり、支持基盤も傾斜する地で安全対策をどのように講じていくのか、早急にその精査を実施することを強く求めます。

 松本市民と未来のこどもたちに、「この地にこの球場を作ってよかった、松本市全体の利益になっている」と感じてもらえるようなものとすることが求められ、四賀運動広場建設後から、その役割を終えるまでの数十年間という長きに亘って、担当課においてその責任を強く追求されていくこととなります。

 また、冒頭で申し上げた四賀運動広場建設に関わる周辺整備について、今後関連経費が仮に発生するのであれば、市当局においては、これまで議会で「高すぎる」として13億8千万円に総工費を圧縮して議会で認めた経過と、先月の総務委員協議会で、総工費17億8千万円をできるだけ縮減することを前提に議会で認めた経過を踏まえて、慎重に検討を重ねることを求めます。

 以上を申し上げるとともに、本議案については消極的ながら、賛成することを表明し、私の意見表明といたします。




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この記事へのコメント
スポーツ施設だからコスト回収の視点は優先されない、その理由がよくわからない

日本のスポーツ産業は諸外国と比較し経済効果が著しく低いことを指摘されているのをどう解釈しているのか
経済効果を見込まないなら設備は最低限で良いし、大会の誘致ではなく日常的に開放することが体育的には望ましい

いや、普通の公園を球技などできるように整備するほうが良いか


ある程度の設備の施設つくるならその運用で収益を生む仕組みを作るのが先でしょう

浅間の市営球場が生む価値を整理してそれが体育目的ならばその成果を示す
それが経済効果も見込むならその点からも検証する

今回はその補完的な性格も持つ施設なら市営球場を補完する積極的意義を提示するのが先でしょう

そんな甘い査定で施設作るから作ってから何も生まない結果になる可能性が課題として残る

でも通ってしまうともうそんな課題も真剣に取り上げられなくなる


結論、ジャッジの基準が甘すぎる
Posted by 通りすがり at 2018年07月21日 18:52
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