2017年06月28日
尾道市役所の建て替え候補地を決める際、市長が約50箇所、計4000人に説明会を行った。
こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。
今日は行政視察2日目。
尾道市役所の建て替えと、尾道市立市民病院の経営強化について視察を行いました。
尾道市役所の建て替えについては、松本市でまさに建て替え候補地を決めようとしているため参考となりました。
尾道市は広島県にあり、人口規模13万8千人。松本市の半分強で、市制施行120周年を来年迎えます。松本市は今年が110周年でした。
尾道市役所はおよそ築60年で老朽化しており、その建て替えを進め、平成31年10月に利用開始を目指しています。
尾道市では市庁舎建て替えに合併特例債(建設費として有利に使える借金だが、有効期限がある)を使うこととしており、そのために急いで建設地を決め、建設を進めていく必要がありました。
1,建て替え候補地は現在地隣の市民会館とし、尾道市長が説明会を約50箇所、約4,000人の市民に対して行った
建て替え候補地を決めるにあたり、次の3案を次のように比較しました。
A:現庁舎位置に建て替える
工事中の仮設庁舎の建設・解体費用がかかる上、建設用地が確保できない可能性があり、先行きは不透明であることから不適当
B:市庁舎横の市民会館に建設
工事中の仮設庁舎が不要で、費用が最も安く済む。一方で、市民会館に愛着のある市民から反対があった。現庁舎は駐車場にする。
C:別敷地に建て替え
市民からは複数候補地の意見が出ていたが、一定規模の市有地が確保できていない。これを獲得するのに、概算で10億円は必要となる。現庁舎跡地を観光業者に売ることも意見としてあったが、まちのお祭りなどの中核拠点であり、民間がそこを運用することは公益性へのリスクが有る。用地取得が確実でないため、期限付きの合併特例債を使う上で、工期が見通せないのはリスクとなる。
以上から、Bの市民会館を壊して建て替えるという案が合併特例債を使い、財政負担を少しでも抑えるために適当と判断をしたとのこと。
これについて、15名の市民検討委員会(松本市は5名)で検証を進め、案を固めたところでパブリックコメントを実施。
これについてもちろん反対意見もあったため、市長が市内約50箇所に出向き、計約4,000人の市民に対して説明会を実施し、理解を求めていったといいます。
これらが、合併特例債の期限が迫る中で行われたといいます。
松本市は合併特例債の期限が切れており、建て替えについて急ぐ必要はないと市も認識しています。しかし、建設候補地を決めることについては「市民の意見が二分することを防ぐため、行政の責任で」現地建て替えとして検証を進めています。
今日、松本市では5名の検討委員会による第一回目の会議が公開で行われ、現在地建て替えの検証を進めています。
2,一方、尾道市民は賛成派・反対派で二分された
尾道市では、建設候補地を決めることが市長選挙の争点となりました。1年前の松本市長選では、そもそも争点となっていなかったはずです。
新庁舎横への建て替え派、建て替え自体に反対派、別敷地への建て替え派の3候補による選挙となり、新庁舎横での建て替えを主張した候補が当選。
しかし、反対派、別敷地派の合計得票数が現地建替派を上回っていたことから、市民からは「建設候補地を決める住民投票の実施」を求める直接請求がなされました。
これを市議会が否決し、現地横の市民会館への建替として進められてきたのですが、今でも、議員同士・市民同士の間には若干しこりが残っているようでした。
松本市役所が現地に来ることとなった60年前も同じように市民・議会が2つに分かれ、今の場所に最終的に当時の市長が決めたものの、それに賛成した議員をリコールする動きまで出たとされています。
これらのように市民が二分する事態はできれば起こらないほうがいいですから、行政の責任で決めてしまうというのも、一つの手法としてはわかります。
しかし、その建設候補地について積極的に市民の声を聞かず、それは結果的に建て替えを検討していることの周知もあまりしないことになりますが、どこかで市民が「市役所建て替えてるなんて知らなかった!そもそも、いつの間に市役所の建て替え候補地が決まったの?」と思う時が来るのではないかと思います。
実際に、今、私が市民の方と話しても、多くの人が自分の仕事等で忙しいため、現在地で建て替えを検証していることも、市役所建て替えを検討していること自体も知りません。
私は現地で建て替えるということ自体に反対しているわけではないのですが、本当にこの建設地の決め方が、松本市のため、松本市民のためになっているのでしょうか・・・。
3,少しでも建設費用を抑える挑戦が各地で行われている
尾道市では、庁舎整備には約86億円の総費用がかかりましたが、合併特例債の期限に間に合わせることができたため、そのうち約76億円という9割弱が合併特例債で充当され、一般財源は約2.7億円、基金積立が6億円で済んでいます。
ICT化が進む中、多くの市民にとってあまり行くことのない市役所の整備に、どこまでお金をかけていいのかということも考えなければならず、全国的にも、若い市長が徹底的に建設費用を抑えようとするアイディアを様々出しています。
この費用を抑えること自体も、建設地を決める上で比較材料となるものですが、今の流れだと、「現地建替の中でどのように費用を抑えるか」という議論しかできなくなります。
この他、尾道市では、新庁舎に自然エネルギーの活用を取り入れませんでした。なるべく空調を使わなくても良い設計にはしているそうです。活用しなかった理由は、
・太陽光パネルや地中熱利用等の費用対効果が少なく、少しでも建設費用を抑えるため
・建て替え地が市の中核拠点であるため、市民・観光客が集える場として、屋上を開放したかったから
と検証を進める中で判断したからとのこと。
こういったソフト面については、松本市でも「市民による新庁舎あり方ワークショップ」の実施を行うとされているので、建設地が確定して以降、市民が参画できる機会が確保されています。
今回は庁舎建て替え候補地を決める上で、市民に起こる様々な影響を、多角的に知ることが出来、大変有意義な視察となりました。
9月議会で建設候補地については確定するとされているので、しっかり議論ができるように残りの時間で調査をすすめます。
それではまた明日。
■
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今日は行政視察2日目。
尾道市役所の建て替えと、尾道市立市民病院の経営強化について視察を行いました。
尾道市役所の建て替えについては、松本市でまさに建て替え候補地を決めようとしているため参考となりました。
2017/06/11
尾道市は広島県にあり、人口規模13万8千人。松本市の半分強で、市制施行120周年を来年迎えます。松本市は今年が110周年でした。
尾道市役所はおよそ築60年で老朽化しており、その建て替えを進め、平成31年10月に利用開始を目指しています。
尾道市では市庁舎建て替えに合併特例債(建設費として有利に使える借金だが、有効期限がある)を使うこととしており、そのために急いで建設地を決め、建設を進めていく必要がありました。
1,建て替え候補地は現在地隣の市民会館とし、尾道市長が説明会を約50箇所、約4,000人の市民に対して行った
建て替え候補地を決めるにあたり、次の3案を次のように比較しました。
A:現庁舎位置に建て替える
工事中の仮設庁舎の建設・解体費用がかかる上、建設用地が確保できない可能性があり、先行きは不透明であることから不適当
B:市庁舎横の市民会館に建設
工事中の仮設庁舎が不要で、費用が最も安く済む。一方で、市民会館に愛着のある市民から反対があった。現庁舎は駐車場にする。
C:別敷地に建て替え
市民からは複数候補地の意見が出ていたが、一定規模の市有地が確保できていない。これを獲得するのに、概算で10億円は必要となる。現庁舎跡地を観光業者に売ることも意見としてあったが、まちのお祭りなどの中核拠点であり、民間がそこを運用することは公益性へのリスクが有る。用地取得が確実でないため、期限付きの合併特例債を使う上で、工期が見通せないのはリスクとなる。
以上から、Bの市民会館を壊して建て替えるという案が合併特例債を使い、財政負担を少しでも抑えるために適当と判断をしたとのこと。
これについて、15名の市民検討委員会(松本市は5名)で検証を進め、案を固めたところでパブリックコメントを実施。
これについてもちろん反対意見もあったため、市長が市内約50箇所に出向き、計約4,000人の市民に対して説明会を実施し、理解を求めていったといいます。
これらが、合併特例債の期限が迫る中で行われたといいます。
松本市は合併特例債の期限が切れており、建て替えについて急ぐ必要はないと市も認識しています。しかし、建設候補地を決めることについては「市民の意見が二分することを防ぐため、行政の責任で」現地建て替えとして検証を進めています。
今日、松本市では5名の検討委員会による第一回目の会議が公開で行われ、現在地建て替えの検証を進めています。
2,一方、尾道市民は賛成派・反対派で二分された
尾道市では、建設候補地を決めることが市長選挙の争点となりました。1年前の松本市長選では、そもそも争点となっていなかったはずです。
新庁舎横への建て替え派、建て替え自体に反対派、別敷地への建て替え派の3候補による選挙となり、新庁舎横での建て替えを主張した候補が当選。
しかし、反対派、別敷地派の合計得票数が現地建替派を上回っていたことから、市民からは「建設候補地を決める住民投票の実施」を求める直接請求がなされました。
これを市議会が否決し、現地横の市民会館への建替として進められてきたのですが、今でも、議員同士・市民同士の間には若干しこりが残っているようでした。
松本市役所が現地に来ることとなった60年前も同じように市民・議会が2つに分かれ、今の場所に最終的に当時の市長が決めたものの、それに賛成した議員をリコールする動きまで出たとされています。
これらのように市民が二分する事態はできれば起こらないほうがいいですから、行政の責任で決めてしまうというのも、一つの手法としてはわかります。
しかし、その建設候補地について積極的に市民の声を聞かず、それは結果的に建て替えを検討していることの周知もあまりしないことになりますが、どこかで市民が「市役所建て替えてるなんて知らなかった!そもそも、いつの間に市役所の建て替え候補地が決まったの?」と思う時が来るのではないかと思います。
実際に、今、私が市民の方と話しても、多くの人が自分の仕事等で忙しいため、現在地で建て替えを検証していることも、市役所建て替えを検討していること自体も知りません。
私は現地で建て替えるということ自体に反対しているわけではないのですが、本当にこの建設地の決め方が、松本市のため、松本市民のためになっているのでしょうか・・・。
3,少しでも建設費用を抑える挑戦が各地で行われている
尾道市では、庁舎整備には約86億円の総費用がかかりましたが、合併特例債の期限に間に合わせることができたため、そのうち約76億円という9割弱が合併特例債で充当され、一般財源は約2.7億円、基金積立が6億円で済んでいます。
ICT化が進む中、多くの市民にとってあまり行くことのない市役所の整備に、どこまでお金をかけていいのかということも考えなければならず、全国的にも、若い市長が徹底的に建設費用を抑えようとするアイディアを様々出しています。
この費用を抑えること自体も、建設地を決める上で比較材料となるものですが、今の流れだと、「現地建替の中でどのように費用を抑えるか」という議論しかできなくなります。
この他、尾道市では、新庁舎に自然エネルギーの活用を取り入れませんでした。なるべく空調を使わなくても良い設計にはしているそうです。活用しなかった理由は、
・太陽光パネルや地中熱利用等の費用対効果が少なく、少しでも建設費用を抑えるため
・建て替え地が市の中核拠点であるため、市民・観光客が集える場として、屋上を開放したかったから
と検証を進める中で判断したからとのこと。
こういったソフト面については、松本市でも「市民による新庁舎あり方ワークショップ」の実施を行うとされているので、建設地が確定して以降、市民が参画できる機会が確保されています。
今回は庁舎建て替え候補地を決める上で、市民に起こる様々な影響を、多角的に知ることが出来、大変有意義な視察となりました。
9月議会で建設候補地については確定するとされているので、しっかり議論ができるように残りの時間で調査をすすめます。
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